ショートショート:喫茶店の店員

店にはいってメニューをみていると「マジックですか?」と聞かれる。

「そう、それで」。

これだけでやりとりが終わる。

マジックって濃いカフェラテのこと。
あれ、でもこの人にはまだ1回しか接客されたことないような・・。

お気に入りの店で時間を過ごすのが好きで、暇なときはだいたいそういう店にでかける。それでお気に入りの店に限ってそういうことが起こる。

あ、顔を覚えられてしまったと小恥ずかしいけど、ああいう接客をされると「よく来たな!」という包容感が伝わってきてわたしはこの店に安心して居座れる。
特に店員と仲良く話すわけでもなく、わたしはひとりで黙々と考え事をするのだが、余計に話しかけることはなく、ちらちらと視線を感じることもない。
それなのに帰るころにはわざわざ出口をあけて待ってくれている。この人たちは、コーヒー飲んだだけの客にどこまで本気なのか・・・。

今日はケーキが食いたいと思っていたら「あ、ケーキとマジック、セットでできますよ」とまた気持ちを読み取られたように言われた。
もし店にはいったときにエロいことでも考えてたらどうなるんだろうと思いながら、じゃあ、モンブランとマジックくださいと注文した。

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