格闘ゲームの法則。技を覚えたばかりの人間は、技を知らないド素人に勝てない。

中学の時はゲームを散々やっていた。街のゲームセンターに昼から行って、50円の格闘ゲーム(以下、格ゲー)をやるのが一時期の日課だった。

ゲーセンには子供はほとんどいなくて、対戦相手は大人たち。みんな強くてなかなか勝てなかったが、それでも楽しいから通った。さすがにゲームセンターで闘うだけでは彼らに勝てないと思って、学校帰りにそのゲームを持ってる友達の家に寄って一緒に練習することがあった。

コンボを覚えたてのプレイヤーが最も弱い

しばらく通っていると、いろんな友達が来るようになって、複数人でやるようになった。私がコンボ(繋ぎ技のこと)を知っているから、ひとまず教えてあげた。

コンボを習得した友人は、コンボを覚えられたことに喜んでそればかり狙いに行くが、後からやってきたど素人プレイヤーの友人にボコボコにされてしまった。素人の方の手さばきと言ったらひどくて、ぐちゃぐちゃで力が入りまくっていて、今にもコントローラーがぶち壊れそうだった。

そんなプレイヤーと、コンボを覚えたプレイヤーが戦うとだいたいど素人の方が勝って「イェーイ!」と歓喜する。一方、真面目にコンボを覚えた方はだんだんやる気を失っていく。

ど素人の自由さと覚えたての弱さ

素人は何にも縛られない。「この時はこうした方がいい」というその道の常識を知らないからこそ、その道に精通した人たちからすると度肝を抜くような新しい発想が飛び出したりする。

技を覚えたての頃は「この技しかない」と錯覚して臨機応変に動けない。そういうわけで、残念ながらこの「何かを覚えたての人間」が一番みじめな思いをしやすい。

格ゲー以外にも、例えばカジノに初めて来た女の子の方が、中途半端に詳しい人よりも大きなあたりを出すとか、ダンスで言えばレッスンに1年通った人よりもその辺の酔っ払いのサラリーマンに踊らせた方が会場が盛り上がったとか。

ど素人の方が良い結果を残すというのは、一生懸命に取り組んだ人にとってはとても心苦しい。

「覚えたては惨めだ」ということを自覚しておくことの大切さ

ゲームをやっている友人らを観察している時に気づいたこの格闘ゲームの法則。これから何か習い事をはじめようとしていた人にとってはたいそうな皮肉に聞こえるかもしれないが、逆にそんな時期が来るということを前もって自覚しておくと、そうなった時に気が楽かもしれない。

玄人も一周回って、素人になりたがる?

私が思う偉大な人物はだいたい「創るために今自分の中にあるものを崩す」と言うが、それは素人が縛られず自由に面白いことをやってのけることへの憧れなんじゃないと思った。結局、素人の起こすミラクルがこの世で一番強いのかも。

おわり

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