私の好きなコーヒーバー。

ブランキー・ジェット・シティってかっこいいバンド。 ライブの時、遠吠えのようにこう言ってメンバーを紹介。 「俺の友達を紹介しよう!ミスター・ファンキー・モンキー・ベンジー!」

本当にメンバーのことをリスペクトしてるんだろうなってのがその一瞬で伝わってきて感動したのを覚えている。

ってことで今日は俺の友達、そして我々が愛するカフェバーのオーナー、Kって男を紹介する。冒頭で紹介したバンドを教えてくれたのもこの男。大学で出会って、彼はいつも小学生みたいにいろんなことを実験的にやってた。お互いに意見があるのでもめることもよくあるが、たいていは仲良くやってる。

大学を卒業して、やつが突然コーヒー出してるから浅草に来いって誘いを入れて来た。そういえばあいつ、最近何やってたんだろうって忘れかけてた頃だった。仕事帰りで疲れてたけどおもしろそうだと思って寄ってみることに。

今にも外の壁が崩れ落ちそうなボロのレンタルスペース。そこで一人でご機嫌にコーヒーを淹れてた。自分も含め、たいていの奴らがサラリーマンやってる頃だったから、不思議な感覚だった。こいつ、一人でコーヒーやってるって。のんきなやつだなぁとか。

席について「暑いね、甘いのは好き?」と、材料はわからないがアイスコーヒーを淹れてくれた。今となってはコーヒーに対して「イチゴみたいな甘さとほどよい酸味がある」とか、ややこしい説明文句を覚えてしまったが、当時は「これ、うまいね」としか言えなかった。コーヒー飲んではじめて全身が喜んでいるのを感じた。

このうまいコーヒー片手に踊りとか、演奏とか、歌とか、そういうイベントやったらおもしろそうだなってすぐにKに声かけて、大学生みたいなノリで意気投合した。そこに当時お互いの近くにいたむさくるしい、生意気な奴らが数人集まって「TAMARIBA(溜まり場)」ってイベントを開催。

今思えばウブでひどいイベントだったが、結構人が集まって、まぁそこそこ盛り上がった。私も人に見せれないほどのひどいダンスショーをやった。

しかしこのイベントにはみんなの理想が詰まっていた。メンバーみんながまだ「専門」と言えるほどのスキルを持っていなかった頃。無名。それでもみんなやりたいことを全力で詰め込んだ。

数年後にメンバーのMが「ファクトリーを作ろう」って言い出した。アンディウォーフォルという画家が作った、あらゆるアーティストのために開放された創作基地である。自由に出入りできて、自由に会話しながら、自由な創作ができる場所。

Kのコーヒーと酒で「コーヒーバー」。

MとKの熱意で、あっという間に小さな店が出来上がった。私も当時の知識を振り絞って店のウェブサイト( gallage.jp )を作った。

ただ、店がかなり見つけづらい場所にあるのでなかなか客が来ず、最初の1年はとてもしんどかったようだ。今となっては近所の住民に愛され、それでいてコーヒー好きもわざわざ遠くから通うような人気店になったんだけど。

この店の立ち上げメンバーは専門分野を持ってる。コーヒー、酒、広告、デザイン、音楽、踊り。最初は客のいない店内で、夜な夜なそれぞれの話をして、議論して盛り上がってた。恋愛や哲学の話なんかも。知識人ぶってうざったいと思われていたかもしれないが、みんな難しい言葉で話したりはしない。誰でもわかるように説明してくれるから、すんなり頭に入って心地よく対話できた。

そんなことを続けているうちに、店には面白い人たちがどんどん集まってきた。もちろん、オーナーのKの話とキャラクターがピカイチなのと、コーヒーと酒が最高にうまいからってのが一番の理由ね。

今となってはあらゆる分野のプロフェッショナルがこの店でコーヒーや酒を片手に、分野を超えて楽しそうに、そして真剣に議論している。

この店で何かを得て、持ち帰って、(それが意識的かどうかは置いといて)自分の仕事に反映させる。なんて素晴らしいんだろう。

今、次の公演のためにパリに戻る電車の中でこの文章を書いてる。観光で街を歩くよりもやはり、カフェで一杯コーヒーを注文して思考の旅に出たり、そこの人たちとつたない英語で話している方が、はるかに充足感を得られる。時代を作るような芸術家はいつもパリのカフェで議論してたって。これもまたあの店で学んだこと。

日本で、友人らとあのコーヒーバーで語った時間はかけがえのない時間。人生の隅々、自分のやること全てにその時間が滲み出てくるような気がするから。これからもあの店でうまいもん飲みながら、みんなと長い時間はなして、それぞれがなにか新しいものを生み出しいきたいと思う。親友に感謝。

東中野のコーヒーバー ガレッジ ( gallage.jp )

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