作品の愛嬌

帰国後すぐに、小さな劇場で初めての自主公演をやった。ダンスエンターテイメントショー。

たった9人で80分のショーを回すから、結構な曲数を振り付ける必要があった。

何か作品をつくるとき、私が昔から悩むのが、男くさい考え方で仕上げてしまうことだった。

作品に対して「男くさい」と使うのは、合理的で、効率的で、極端にそぎ落とされていることをいう。それは「洗練されている」とは違っていて、骨格はあるんだが、遊びがなくてつまらないってこと。

ここ数ヶ月で、私は作品にとっての「女性らしさ」を理解し始めた。

可愛らしさ、愛らしさ、愛嬌みたいなものを、作品の肉付けフェーズの時に盛り込むってことだ。それを一般的には「センス」とかいうみたいだけど、このカタカナはしっくりこないから使わない。

振付するときを例に挙げて説明してみる。

まず、骨格を作る。

好きな曲を聞いて、ここでこういうことがやりたいっていうのが、浮かんでくるのをメモでもなんでもいいのでとどめておく。個数に制限はないから、とりあえずあがってきたものを全て並べておく。

そもそもここが思い浮かばないこともあるんだけど、そりゃ無念。帰って酒飲んで寝てまた人と話しながらでも考える。

やりたいことがだいたいあがってきたら、もう骨格は出来上がり。

それでとりあえず強引に1曲ぶんの振付をつくる。

思いつかないならほったらかしでいいから、とりあえず1曲仕上げる。

あぁ、もしこの段階で満足して世に出してしまったら、それは「オス臭い」作品で終わる。骨格だけで出来上がった、愛嬌のない作品ってことだ。

その日はとりあえず解散して寝て、またみんなで集まる。

いよいよ「女性らしさ」を追加する=肉付けフェーズに入る。

肉付けには、筋肉はもちろん、脂肪があっていいし、毛細血管もあっていい、薔薇を添えてもいいし、足りない色味を足したっていい。服屋のおばちゃんが、あら、これもかわいい、あれもかわいいってどんどんアイテムを試着室に持ち込んでくる感じに近い。

オス的には「そんなの無駄だ」って思えることを、どんどん追加してみる。

ウルセェ、おせっかいだというくらい「可愛さ」をプラスしてみる。

それでいつのまにか、骨格が見えないくらいに複雑なカタチになっている。

本でいうなら、脱線しすぎて目次のある意味がないくらいの領域にまでいってしまった本みたいな。

そこまでいってしまえば、いつのまにか「愛嬌のある」作品に仕上がっている。

もちろん、Too Much な可愛さはあとで取り除けばいい。

骨格だけの作品を、秒単位でみ直して、追加できそうな可愛さを探す作業。

作品に愛嬌を足す作業。

これを面倒くさらずにふざけながらやれると、だいたい良い仕上がりになるというのを今回の自主公演で気づいた。過去うまくいった作品もたいていが自然とそんなプロセスを踏んで仕上がったものばかりだ。

男っぽくいうなら、悪ふざけを追加していくというべきか。

そんなくだらないと思える、非合理、非効率こそが魅力的な作品なんだなって。

よっぱらいながら残しておこう。

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